
「給与天引きでお金が貯まる」と聞いて、思い浮かぶ福利厚生の一つが財形貯蓄制度です。
その中でも使い勝手が良いのが「一般財形貯蓄」。
大企業に勤めていると制度が導入されていることが多く、実際に利用している方も少なくありません。
私自身も入社数年目から 毎月5,000円を一般財形で積立し、さらに会社から毎年1万円の奨励金を受け取っていました。
会社から奨励金が出るため、まさに「使わないと損かも」と思える制度です。
この記事では、FP資格を持つサラリーマンが一般財形貯蓄の仕組み・メリット・デメリット・実際の積立シミュレーションをわかりやすく解説します。
一般財形貯蓄とは?
まず「財形貯蓄制度」には以下の3種類があります。
- 一般財形貯蓄 … 資金使途が自由(旅行・教育・冠婚葬祭など)
- 財形住宅貯蓄 … マイホームの購入・リフォーム専用(税制優遇あり)
- 財形年金貯蓄 … 老後資金専用(税制優遇あり)
このうち一般財形貯蓄は、最も自由度が高く、「給与天引きで積み立て、1年以上経過すれば好きなタイミングで引き出せる」制度であり、下記のような特徴があります。
- 勤務先が導入していれば利用可能
- 積立金額は毎月数千円〜数万円程度から選べる
- 会社からの奨励金がある場合が多い
- 給与からの天引きによって貯蓄される
- 非課税メリットはなし
つまり「強制的にお金を貯める仕組み」として機能する福利厚生と言えます。
一般財形貯蓄のメリット
1. 給与天引きで自動的に貯まる
「気づいたらお金が残っていなかった…」という悩みを解決してくれるのが給与天引きの強みです。
貯金を「する」ではなく「される」仕組みなので、ズボラでも続けられます。
2. 資金の使い道が自由
住宅や老後に縛られず、家電購入、子どもの教育費、旅行費用など幅広く活用可能。
急な出費にも対応できるため、生活防衛資金としての役割も果たすことも出来ます。
3. 奨励金・利子補助がある企業も存在
私の会社では、毎年1万円の奨励金が支給されていました。
低金利時代にこれほど有利な貯蓄制度はなかなかありません。

デメリット・注意点
1. 税制優遇はない
住宅・年金財形やNISAなどと違い、**利子に課税される(20.315%)**ため、節税効果は期待できません。
2. 金利がほぼゼロ
ほとんどが銀行預金型のため、利回りは実質ゼロに近いです。
積立NISAやiDeCoのような資産運用と比べると見劣りします。
3. 制度がない企業もある
中小企業では導入されていないケースもあり、「使いたくても使えない」可能性があります。
実例:月5,000円+奨励金1万円の積立シミュレーション
実際に私が行っていたケースを計算してみましょう。
私の場合は、最低の掛金が5,000円であったため、最低金額で拠出しています。
また、会社の福利厚生ポイントを使うことで毎年10,000円の奨励金がありました
- 毎月の積立額:5,000円
- 年間積立:60,000円
- 奨励金:10,000円
- 年間合計:70,000円
これを5年間続けると…
- 積立総額:300,000円
- 奨励金総額:50,000円
- 合計:350,000円
利息はほぼゼロですが、貯蓄に比べ+50,000円。奨励金の効果で+16%分のリターンを得られたことになります。
ほぼ奨励金によって得られた利益ですね(笑)
一般財形貯蓄のシミュレーション
月額の積立額を変更した際の利回りシミュレーションの結果です。
積み立て額が低ければ低いほど利回りは高額となります。
最低拠出金額が10,000円の場合でも、年間の奨励金が10,000円あれば利回りが8.33%となり、そのほかの投資と比べても高い利回りが見込めます。
奨励金を考慮した実質利回り(年間ベース)
月額積立 | 年間積立 | 奨励金 | 利回り(%) |
---|---|---|---|
1,000円 | 12,000円 | 10,000円 | 83.33% |
5,000円 | 60,000円 | 10,000円 | 16.67% |
10,000円 | 120,000円 | 10,000円 | 8.33% |
30,000円 | 360,000円 | 10,000円 | 2.78% |
NISA・iDeCoとの比較
NISAやiDeCoは利益に利子がかかりませんが、利回りは5%ほどが一般的とされています。
一般財形は月々の掛金によって利回りが変わってきますが、↑のシミュレーション結果から5%を上回る状況を作れるのであれば、まずは一般財形にお金を入れるのが良いと思います。
👉 結論:会社が奨励金を出しており、利回りが5%を超えるならば一般財形を優先的に使用する価値あり
まとめ
- 一般財形貯蓄は「給与天引きで貯める社内積立制度」
- 自由度が高く、急な出費にも対応可能
- 奨励金がある企業では「利回り十数%相当」と非常に有利
- ただし、税制優遇がなく、金利も低いため、貯蓄額に対する利益は期待しないほうが良い
大企業に勤めている方は、まず勤務先の福利厚生を確認してみてください。
もし奨励金があり、拠出金額に対して高い金額であるならば「やらないともったいない」制度だと思います!
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